「ボール」を溜めないように仕事をしよう
タイトルで言いたいことは言った。
完全リモートワークの生活をしている。自分以外のメンバーがどんなふうに働いているのか一切わからないが、「ボール」がどこに溜まっているのかはGitHubやSlackのやり取りを見ていればなんとなくわかる。
ここで言う「ボール」は、そのタスクを進めるためにアクションする人を指す。コードレビューを例にすれば、レビュー依頼を受けたら、レビュアーが「ボール」を持つし、レビュアーがレビューしていくつかコメントをしたら、今度はレビュイーが「ボール」を持つ。
誰かが「ボール」を抱えてしまうと、そのタスクはそれ以上進むことはない。
仕事が進まないときというのは、たいてい誰かが(自分かもしれない)「ボール」を抱えていることが多い。
そして、人間なので「ボール」を抱え込んでしまうことは一定ある。
なぜ「ボール」が溜まるか
「ボール」が溜まりやすい理由の種類は大きく二つある。組織の問題と個人の問題である。組織の構造上「ボール」が溜まりやすくなることはあり、それはそれで解決すべき問題だが、ここでは個人の範囲で述べる。
「ボール」の量は自分がコントロールしにくい部分だ。なので「ボール」が溜まっている状況自体は大きな問題ではないが、それらをどう対処するかは個人で差が出る部分だ。
2,3分で対応できそうなレビュー修正を数日寝かせているような状況を見たことがある。これだと終わる仕事も終わらない。完全リモートなので、なぜそういう状況になっているのか原因を把握することが難しい。完全リモートの良くないところの一つだ。
マインドセットの問題がありそうだ。ここからは想像も含めて「ボール」が溜まる理由を書いている。
タスクが多すぎて優先度の判断すらできなくなっている
これはかなりやばい
自分がこうなっていると思ったら助けを呼ぼう。
誰かがこうなっていたらすぐに助けよう。
忙しいことに対する謎の幸福感
うまく言語化できないが、そういう感情はある
やることがある安心感
やることがない状態を恐れるあまり、仕事を手放したくない人もいる。
適度にタスクを追加で与えると、過去の「ボール」を手放してくれる傾向にある。
意図的にボールを抱え、自身の存在感を上げる
恐ろしい話だが、かつてそういう人と働いたことがある。歪んだ生存戦略である。
似たようなものとして、属人的な知識を溜め込む人もいる。
ただし、ボールを抱えている人を安直にそういう人だと判断してはいけない
ボールを抱え込むことで生じる問題を理解していない(意識していない)
意外とこういう人は多い。以下そういう人に向けて問題点と、対処法を書く。
「ボール」を溜めるとどんな問題が発生するか
仕事が進まない
シンプルにこれ。「ボール」を溜めている間は決して仕事が進むことはない
仕事の効率が落ちる
自分も相手も仕事の効率が落ちる。
「ボール」を溜めている期間に記憶が失われ、再びその仕事に取り掛かかるときに思い出すコストが余計にかかる
相手にも同じ状況が発生する。相手の仕事の効率を下げている。
精神衛生上よくない
やらなきゃいけないことを抱えている状態はつらい。確定申告の時期は憂鬱だ。
「ボール」を投げた方も気になる状態が続く。
「ボール」を溜めないために何ができるか
自分が「ボール」を抱えているかどうか知る
「ボール」の有無を聞かれてパッと答えられない場合はきっと「ボール」を抱えている
「ボール」を管理する手段を作る
TODOリストが一番シンプルだが、手段は何でも良い。
すぐ返せるものは最優先で返す
考えることが減る
自分はなにかの作業をしている途中でも、すぐに返せる場合はすぐに返すようにしている。短期的には効率が下がるが、長期的なメリットのほうが大きい。何に集中すべきか明確になる。
100%の返答が厳しい場合でも、一次回答がすぐにできるならそれはすぐに行う。状況によってはそれで十分で、「ボール」が消えることもある。
なお、雑な中身で返すのはよくない。余計なやりとりが増えるきっかけになる。
すぐに返せない場合は、「すぐに返せない」とすぐに返す
これができない人は多い。もちろん「ボール」は抱えている状態なので、TODOリストなどの管理に追加する。
合わせていつ返せそうか伝えられるとなお良い
他に適任がいるかどうか探す
丸投げにならないように注意
常に「ボール」を優先的に返す意識を持つ
定期的にTODOリストを見る。対応する。
究極は意識の問題になる。
「ボール」を返すことに集中しすぎて、自分の仕事が進まないのでは?
ボールを返すことに全力を注ぐとそうなる場合もある。何事も極端なのはよくない。ただ、多くの人は「ボール」を抱える側に偏っている傾向があるので、それを少しでも解消できればと思っている。自分の「ボール」を意識するところから初めてみるのはどうだろうか?
最後に、この「ボール」に対する意識は人によって異なる。相手に過度な期待を押し付けないように注意すること。気になることがある場合は対話による提案をしよう。